イジワルな俺様の秘密ライフ
「もーいい! 知らない!!」
自分でも何が『知らない』なのかわからないけど、
勝手に言葉が出てしまったんだから仕方ない。
勢いよくドアを開けた私に、海翔が「忘れてた」と言ったから、
警戒しながら、体の向きはそのままに、首だけ後ろを向く。
「──何よ」
こちらに向かって手を出している海翔にそう言うと、
「今日のぶん」
と、しれっと答える。
今日のぶん……?
「あ! お金!!」
分割払いの代金!!
お財布をとりに慌てて部屋へ入ろうとした私の腕を、ガシッと掴まれ力強く引き寄せられたと思ったら、
唇を奪われていた。
さっきみたいな、触れるだけの優しいキスじゃなくて、
深く侵入してくる激しいキス。
脳の奥まで痺れるような、
甘い電流が走るような、
身体の奥まで駆け巡るような、
ぞくぞくするキス。
酸素を求めて溺れかけたとき、
そっと唇が離れ、吐息が耳をくすぐった。
「明日は息しろよ?」
…………息っていつすればいいの……?
馬鹿にされそうだから言わなかった。