イジワルな俺様の秘密ライフ


スパパン、スパパン、と小気味いい音を立てながら大地の頭を叩くナツに、

大地は頭を掠る煩さに顔をしかめながら、ナツの手首を掴む。


「おいナツ、いい加減に──」


「なによ!!」


ナツが真っ赤になって大地の手を振り払おうとした時、それよりも早く大地の手からナツの手が奪われた。



邪魔しないで、と言いかけたナツが、自分の手を掴む人物を見て黙り込む。



真っ黒な短めの髪はソフトモヒカンのようになっていて、よく日焼けした身体はガッチリしているその人は確か──


「ユウ……」


「何があったか知らんけど。
やりすぎだろ、夏歩」



そうだ、ナツの彼氏さんだ……



ユウくんはナツの手をゆっくりと手を下におろさせて、駄々っ子をあやすように頭を撫でた。



「あんま大地苛めんな」


「ん……」



武骨な顔でそう言うユウくんに対し、殊勝になったナツ。



優しそうな彼氏だなぁ……

なんてちょっとホワッとしてた。



……あれ?

私、何か忘れてる?



思い出そうと頭を捻る私に、大地が言った。


「で、俺が言うのも何だけど。いいのかアヤ、狂言部の人んとこ行かなくて」



それだ!!


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