イジワルな俺様の秘密ライフ
「ごめん、あたしちょっと行ってくる……!」
そう言い置いた私の耳に、聞き覚えのある着信が聞こえてきた。
ユウくんが「またか」と眉をひそめる。
「誰のケータイだか知らんけど、昼休みになってからずっと鳴ってんだよアレ。
幸い先生がいないからいいけど、マナーモードにし忘れてんかな」
うん、ごめん。
犯人たぶん私です。
慌てて机に向かい、脇にかけてるカバンを漁る。
チカチカと点滅して存在を主張しているケータイを取り出し、ディスプレイで名前を確認すると、
それは海翔からのメール着信だった。
『いまどこ』
たった四文字、それも絵文字も顔文字も、漢字変換さえされていないメールに、
殺意が見えた。
どどどどうしよう。
別に何も悪いことをしてないのに、ひたすら焦る私の肩を、誰かがポンと叩いた。
「ヒィィィイ!!」
驚きのあまり飛び跳ねた私に、
「僕は幽霊か」
と冷静な突っ込みが入れられる。
恐る恐る振り返った私の目に、悪魔の貴公子が微笑んでいるのが映った。