イジワルな俺様の秘密ライフ
ナツが口パクで合図してる。
じいっと見つめて、何度か繰り返されるそれを解読しようと試みる。
えーっと。
『お』『さ』『き』『に』……
──お先に!?
愕然としたことで理解したとわかったようで、ナツはひらひらと手を振る。
海翔がいるから安心だと思ったのかもしれないけど。
確かに安心だけど。
明日からの報復が増えそうな気がするのは、私だけなのかな……
かくんと項垂れた私の目のはしに、ナツと大地が教室から出て行くのが見えた。
実際には大地はナツに引き摺られて無理矢理という感じだったけど。
──あれ、そう言えばナツってユウくんとは帰らないんだ。
「アヤさん?」
「ふぇっ」
恐ろしいくらいに爽やかな顔が、ひょこっと突然近距離に現れたことに仰天し、
おかしな声が出る。
そしてユウくんとナツのことを考えていたのは、ポーンとどこかへ飛んでしまった。
「パフェ、行かないの?」
顔を覗き込まれ、あわてて離れる。
「あ、うーん…………いいや」
海翔と行ったら、マジで埋められかねん……