イジワルな俺様の秘密ライフ
海翔の瞳は、胸が苦しくなるほど切なくて、せりあがってくる感情に涙がこぼれた。
『釣り合わない』とか
『からかってるのかも』とか、
そんなことを思わせる隙なんてこれっぽっちもない、全て跳ねのけてしまう真摯な瞳。
嘘偽りのない表情で、ただ真っ直ぐに私を見ている。
「誰にも負ける気はしないし、オマエを信じてるけど。
オマエが俺を避けるたび、不安になる。
離れてしまうんじゃないかって。
そしてそれを恐れてるのは、俺だけなんじゃないかって──」
ずくん、と胸が痛んだ。
『あたしなんて釣り合わない』とか
『からかってるのかも』とか
そう思ってたのは、ぜんぶ私。
思ってたんじゃない。
思いこもうとしてた。
だってそうすれば、傷付かなくて済むから。
本当にからかってたり、釣り合わないからって離れた時に、
『ああやっぱり、私そうだと思ってたんだ』
って、自分を慰められるから。
前もって構えておけば、それがクッションになるから。
海翔はそんなこと一言も言わなかったのに、私が勝手に思ってただけ。
自分のために──