イジワルな俺様の秘密ライフ


「悪ぃな……ガキくせぇ感情に振り回された」



海翔が申し訳なさそうに言ったけど、

ちっとも子どもっぽい感情だなんて思わなかった。



むしろ私の方が感情に振り回されていた気がする。



そしていたずらに海翔を振り回してしまったと、

そう思った。



だけど揺るがない気持ちなんて、そうそう無いのかもしれない。



ただ、

自分の感情に振り回されても、

誰かの感情に振り回されても、

いくら揺らいだとしても、

到達するところが同じなら、それは本当の気持ちになるんじゃないかと思う。



私の本当の気持ちは、

どんなに遠回りしても、

向かう先はひとつ。



ごちゃごちゃと考えてしまうけど、

全て取り払ってしまえば、

それはきっととてもシンプルだ。



そして言葉にしなければ伝わらないこともあるし、

言葉なんていらないこともある。



「そんなところもひっくるめて、海翔が一番だよ」



そう言った私を、海翔は更に抱き締めた。


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