イジワルな俺様の秘密ライフ


「姫香さん……邪魔なんだけど」



海翔と私の間に身を滑らせた姫香さんに向かって、

海翔は不満そうに言う。



姫香さんは私の啖呵に感銘を受けたとかで、

ご両親に相まみえるその時まで、

私を文字通り、極上のレディに教育してくれるつもりらしい……



私はと言えば、はっきり言って疲れ果てていた。



だって寮にまで来るんだよ、この人!



寮は海翔が学園長をたぶらか……いや、説得して、掲示板で倒れ込んだ私への嫌がらせ目的で二人住むことに決めたらしいんだけど。



学園長経由でご両親には姫香さんを寮に入れないとせっかく説得してたのに、

姫香さんが居座ってしまったのだとか。



私が姫香さんを説得出来たのがいまだに信じられない……



「まぁ! 海翔様まで、姫香を邪魔者扱いしますのね!? 姫香はアヤ様が海翔様の婚約者として海翔様のお父様たちにお目通り叶うことが出来ます様、精一杯この身を粉にして──」


よよよ、と泣き崩れるって、今の姫香さんのためにある言葉に違いない。


……ハンカチの向こうで笑ってるみたいに見えるけど。


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