イジワルな俺様の秘密ライフ
「うん、それは感謝してるけど、僕は今、アヤさんを襲ってる最中なんだよね」
「既成事実からなんて破廉恥なこと、澤崎家ではお認めにならないでしょう…っ」
「いやそこまでするつもりは……」
慌てた海翔に姫香さんは更に笑みを深くする……ってやっぱり笑ってるよね?
「よもやアヤ様は海翔様を受け入れるおつもりではないですよねぇえ?」
あ、目薬さした。
話題を私に振りながら、ハンカチを外し、真っ赤なうるうるとした瞳で私を見る姫香さん。
「ピンクの涙……」
「はぐわッ!!!!」
私の指摘にレディとは思えない奇声を上げた姫香さんを尻目に、
私は海翔の腕をとった。
「戦略的撤退!」
私に引かれながら、海翔が尋ねてくる。
「勝算は?」
「あるよ!」
海翔がいてくれるなら、
負ける気なんて、しないんだから!
「あ、お待ち下さい!」