イジワルな俺様の秘密ライフ
そうは思っても、言えない自分がうらめしい。
あれよあれよという間に、お化け屋敷の中へと引っ張られた。
廃校をモチーフにした薄暗い内部に、私の足はすくむ一方。
ひんやりとした屋内と、過度の緊張で、私はぶるぶると震えていた。
冷えた体と体温の中、唯一繋がれた手だけが、温かさを感じていた。
初めこそ遠慮がちだったけれど、
脅かされるたびに怖くて、
はぐれることがないように、
ぎゅっと強く握りしめた。
私にとっては命綱と同じで。
怖さから目を背けて、ずっと手だけを見ていた。
だからか、あまり恐怖はなくて。
微妙な間を保ったまま、お化け屋敷は終わった。
チッという舌打ちが聞こえたような気もするけど、
日の光に照らされた私は、そんなことどうでもよくて。
海翔様からすぐさま手を離して、
「次はあれに乗りたい!」
と海翔様に笑いかけた。
なのに、少し不機嫌そうな海翔様。
手を繋いだのが嫌だったんだろうか。
それとも、私があまり怯えなかったから?
どうも後者のほうがそれっぽい。