イジワルな俺様の秘密ライフ
人がこんなに悩んでるというのに、
私の勝手だと言われてしまえばそれまでだけど、
海翔様が好きなのかどうかすらわからずに悩んでるというのに、
「えっちなんて出来ませんっっ」
私の大音声に心底驚いたように、
海翔様はためにためてから、
「…………は?」
と間抜けな声を出した。
でもすぐに「ふ~ん」と私をからかうように、可笑しそうに相づちして、
そして私を抱き締めていた手にチカラを込めたかと思うと、
「……このホテルに来たの、初めてだろ?
せっかくの夜景だから、ここでもう少し見ているか、
それとも疲れたならベッドで休むかときいたんだけど?」
いちおうリザーブしたし、とルームキーを私の目の前で振った。
紛らわしいんじゃボケェーー!!
あの訊き方は絶対わざとだ。
あの訊き方で、海翔様が言ったような選択肢だと、一体誰が思うというんだっっ!!
「でも、」
海翔様の艶かしい声が、私の耳朶を揺らす。
「それがお前の望みなら、お前がそう望むなら、
忘れられない夜にしてやるよ」