イジワルな俺様の秘密ライフ
そ、そんなこと言われても……
「こ、困る……」
私の顔はぴたりと海翔様の胸に押しあてられていて、
モゴモゴとしか聞こえない。
でも体を引き離すようにしているのはわかったみたいで。
「好きなやつとかいるのか?」
と不機嫌そうな声が聞こえてきた。
「ち、違っ」
なんとか顔だけは上に向けて、言葉が聞き取れるようにしたけど、
海翔様の睨み付けるような視線に耐えきれず、私は視線をそらして目を伏せた。
「そのくせ、キスとかさせたよな?」
その声、絶対零度。
「あ、あれは……」
しどろもどろに言い繕おうとするけど、
自分でもなんで拒否しなかったのかわからない。
だから言い訳も出来なくて。
無言でいる私。
ズルイとわかっていたけど、
震えるのはどうしようもなかった。
王子様に迫られて、
きれいな夜景の雰囲気に酔ってたのかもしれない。
そんな私に、海翔様はぼそりと呟いた。
「試食?」
……は!?
「俺、どうだった? なんなら……」
言葉を切っての悪魔発言。
「もっと先まで試してみるか?」