イジワルな俺様の秘密ライフ


そ、そんなこと言われても……



「こ、困る……」



私の顔はぴたりと海翔様の胸に押しあてられていて、

モゴモゴとしか聞こえない。



でも体を引き離すようにしているのはわかったみたいで。



「好きなやつとかいるのか?」

と不機嫌そうな声が聞こえてきた。



「ち、違っ」



なんとか顔だけは上に向けて、言葉が聞き取れるようにしたけど、

海翔様の睨み付けるような視線に耐えきれず、私は視線をそらして目を伏せた。



「そのくせ、キスとかさせたよな?」



その声、絶対零度。



「あ、あれは……」



しどろもどろに言い繕おうとするけど、

自分でもなんで拒否しなかったのかわからない。



だから言い訳も出来なくて。



無言でいる私。


ズルイとわかっていたけど、

震えるのはどうしようもなかった。



王子様に迫られて、

きれいな夜景の雰囲気に酔ってたのかもしれない。



そんな私に、海翔様はぼそりと呟いた。



「試食?」



……は!?



「俺、どうだった? なんなら……」


言葉を切っての悪魔発言。


「もっと先まで試してみるか?」



< 57 / 290 >

この作品をシェア

pagetop