イジワルな俺様の秘密ライフ
「ごめんね」
そう言って頭を下げると、ナツは大げさなくらい手を振って「何もなかったならいいの!」と笑いかけてくれた。
ナツと並んで自分の席へと向かい、机にカバンを置く。
……つもりが。
「ねぇ、ちょっといいかな」
クラスメイトの一人に声をかけられた。
声をした方を見ると、いかにもなハデ系メイクの女の子が私を睨み付けながら腕を組んで立っていた。
これはアレですか。
いわゆる王子様親衛隊の、ちょっと危ないセレモニー?
やっぱり金曜の放課後に一緒に寮へ帰ったことだろうか。
つーか、『何かされそうになったら連絡しろよ』って、
今まさにそれだよね……?
でもそもそも何かされそうになってるのは、金曜の放課後に王子様直々に私のところに来たからだし、
むしろ連絡手段がねぇだろうが、ドハゲーー!!
「百面相キモ……」
うわぁ、なんだか知らないけどドン引きされてますよ、私。
「でもそんなことしても無駄だよ、ちょっと来て」
と私の手首をギュッと握った。