イジワルな俺様の秘密ライフ
ぶつぶつと口の中で独り言を言っているようなケバ子は、私の訝しい視線に気付いたようで、
ハッとした顔をすると、いきなりガシッと私の両肩を物凄いチカラで掴んだ。
痛がる余裕すらなく、ズイッと近付いたケバ子に度肝をぬく。
鼻と鼻がドッキングするまであと数ミリというところにケバ子の顔があった。
「……いくら」
血走ったケバ子の目。
あまりに大きく開き過ぎていて、めちゃくちゃキモい。
妖怪ケバ子と呼ぼう。
このときケバ子に名字がついた。
あまりにケバ子が必死な形相をするので、
私自身は、実は私は茅の外なんじゃないかというくらい、見事に落ち着いていた。
「いくらなの……!」
「な、何が……?」
「とぼけないで!」
ダンッ!という音と背中に走った激痛に、壁へ押されたのだとわかった。
一気に現実に戻る。
「海翔様はいくらであんたのこと……
あたしが代わったげる」