イジワルな俺様の秘密ライフ
その悲鳴はいやに甲高いもので、思わず両耳を手で覆った。
ケバ子軍団の悲鳴だというのがわかったのか、ドアを向いていたケバ子が動揺した。
私もそちらを見るとそこには、ケバ子軍団の塊が遠巻きに立ち、中心にひときわ輝く影。
「かい…と……様」
呟いたケバ子には目もくれず、一直線に向かった先にいたのは私。
埃が舞っているからなのか、キラキラと室内が乱反射して、海翔様の周りを彩っている。
微笑を浮かべた海翔様は、いかにも王子然としていて、見るものを魅了するには充分。
でも威風堂々という感じではなく、あくまでも物腰柔らかそうな雰囲気は崩していない。
昨日までとのあまりのギャップに、実は双子なんじゃないかという疑惑が私の中に浮かぶほど。
そのくらい、完璧な王子様だった。
……っつーか今更何しに来た。
少女漫画であるならば、壁にドンとされたりする前に到着してるはずなんじゃないの、あぁん??
ケバ子と私、もう和解してますけどっ!