イジワルな俺様の秘密ライフ
「良かった、無事で」
えーえーおかげさまでっ!
と強気に言えない私、ドンマイ。
ふわりと羽根が舞うように笑った海翔様に、ケバ子軍団が「ほぅ……」と悩ましい溜め息をつく。
美しい旋律を奏でたかのようなその声に、騙されていないのは私だけ。
うん、だって、このひと、
間に合ってないからね?
「君に何かあったら、俺……」
ちょっと待て。
ギュッと握りしめた手を胸の辺りに当て、
切なげな表情を私に向け、
ケバ子たちには見えてないかもしれないけど、
目が笑ってますよ、海翔様。
おや、もしかして。
楽 し ん で ま す か ?
「でも本当に良かった。
呼び出されたっていうのは聞いたんだけど……
花園さんだったのは運が良かった」
そう言って、海翔様は妖怪ケバ子に微笑みかけた。
ケバ子……!
あんた、花園って名字だったの……!?
驚愕の事実を知り、刮目している私をよそに、ケバ子もとい花園さんは頬を染めて海翔様を見ていた。