イジワルな俺様の秘密ライフ
海翔様は軽く咳払いをして、王子様モードに戻ると、
「そろそろ予鈴ですかね」
と腕時計を見た。
え?もうそんな時間!?
「やだ、じゃあ海翔様は昼食食べてないんですか?」
ケバ子の問いかけに、海翔様はふるふるっと頭を振った。
「俺、アヤさんと昼食を一緒に食べようと思って捜してたんですけど、アヤさん教室にいなかったから先に食べてきました。
この場所にいるとは1組の女子に聞いたんですけど、あまりにお腹すいてたので」
貴様……!
その時すぐに私のとこに来てくれてたら、こんなに面倒なことにはならなかったんじゃないの!?
真っ向から睨み付けた私にだけ向ける、イジワルな笑み。
目を細めて口角をあげて、少し見下すようなその微笑みは、
イライラするけど、
心臓の鼓動も速くさせる。
私だけに見せてる表情なのかはわからないけど、
でも今だけは私にしか見せてなくて、
まるで秘密の共有をしているようで。
それすら見透かしたかのような海翔様の視線に耐えきれなくて、
自分から睨み付けたくせに、私はそっと顔を背けた。