イジワルな俺様の秘密ライフ
そこに立っていたのは、海翔様だった。
塀に背をつけてもたれかかり、長い脚を道路に投げ出すようにして、
腕組みして左脚を軽く組んだのが、キザッたらしくなくてさまになっている。
暗くて表情まではよく見えないけど、寮の玄関を照らすライトがうすぼんやりと海翔様を照らしていて、
こちらを軽く見下すかのような視線を送ってるのがわかった。
その仕草もどこか艶めかしい。
制服ではなく、黒の長Tにブラックジーンズなのが、そこはかとなく色気を漂わせていた。
まだ春先だというのに寒そうな格好。
確実にこちらに気付いてるのに、
こちらが海翔様に気付いて見ているのもわかっているのに、
決して海翔様から声を掛けようとはしていなかった。
きっと私には関係ないことで立ってるんだ。
自らを奮い立たせるかのように、自分にそう言い聞かせる。
そうよきっと、
友達を待ってるとか、ただ外の空気を吸いたかったとか、
きっとそんなん。
……めっちゃ睨まれてるけど。