イジワルな俺様の秘密ライフ


なんで睨まれなきゃならんのかイマイチわからないけど、

立ち止まっているわけにもいかない。



ゆっくりと近付くにつれて、海翔様の睨んでいる相手が、私ではなく

大地なのだということに気が付いた。



大地と面識があるんだろうか??



顔の向きはそのままに、チラと視線だけを大地に向けてみたけれど、

大地の表情は読みとれなかった。



でもさっきまでの面白可笑しい大地はそこにいなくて、

少し緊迫した雰囲気になっているような気がした。



ついに海翔様の近くまで来てしまった。



そしてここまで送ってもらわなくとも、海翔様が見えた時点で、大地に帰ってもらっても良かったことに気付く。



そう気付いたけど、でも多分、

海翔様の怖いオーラがあったから、誰かにいて欲しかったのかもしれない。



でももう着いてしまったから、

「送ってくれてどうも有難う。それから、ご馳走さまでした。

また、明日ね」

と言って大地にバイバイと手を振った。



そしてそれまでピクリとも動かなかった海翔様が、私のその振った手を、

ギュッと掴んだ。



< 93 / 290 >

この作品をシェア

pagetop