イジワルな俺様の秘密ライフ
なんで睨まれなきゃならんのかイマイチわからないけど、
立ち止まっているわけにもいかない。
ゆっくりと近付くにつれて、海翔様の睨んでいる相手が、私ではなく
大地なのだということに気が付いた。
大地と面識があるんだろうか??
顔の向きはそのままに、チラと視線だけを大地に向けてみたけれど、
大地の表情は読みとれなかった。
でもさっきまでの面白可笑しい大地はそこにいなくて、
少し緊迫した雰囲気になっているような気がした。
ついに海翔様の近くまで来てしまった。
そしてここまで送ってもらわなくとも、海翔様が見えた時点で、大地に帰ってもらっても良かったことに気付く。
そう気付いたけど、でも多分、
海翔様の怖いオーラがあったから、誰かにいて欲しかったのかもしれない。
でももう着いてしまったから、
「送ってくれてどうも有難う。それから、ご馳走さまでした。
また、明日ね」
と言って大地にバイバイと手を振った。
そしてそれまでピクリとも動かなかった海翔様が、私のその振った手を、
ギュッと掴んだ。