イジワルな俺様の秘密ライフ
驚くほど冷たいその手に、思わず振り払う仕草をしてしまったけれど、
力強く握られてかなわなかった。
「誰、こいつ」
海翔様の冷ややかな声は、寒空を切りさきそうな鋭さで、
私の心をすくませる。
「あ、俺、」
「お前には訊いていない」
大地が言いかけた言葉をスッパリと切り捨て、視線はそらすことなく私を見つめていた。
この空気の息苦しさと、大地への申し訳なさ、そして海翔様への戸惑い。
もたもたして答えられないでいると、
「もういい。お前は中に入れ」
と海翔様に寮の入り口へと押し込まれそうになった。
いろんなことが頭の中をごちゃごちゃにさせていたけど、
それでもこのまま二人にさせてしまうのは嫌な予感がした。
「クラスの友達……」
私にはそう言うのが精一杯だったけれど。