イジワルな俺様の秘密ライフ
扉に群がる女の子達は、皆が一点を見つめている。
彼女たちの表情から、その視線の先は見なくともわかった。
案の定、海翔様の柔らかい声が聞こえた。
声が耳に入った瞬間、
何もやましいことはないのに、私はこっそりとその場にしゃがみこんで、極力──というか絶対的死角を狙う。
私に用事じゃないかもしれない。
こんな態度は自意識過剰かもしれない。
でも昨日のことをまだ私の中では引きずっていて、
まともに顔を見るとか、言葉を交わすなんてことが出来そうもない。
それに今は、ぶさいくな顔をしてるから、
海翔様に見られたくなかった。
今見られてしまったら、寮で顔を合わせなかった意味がない。
腕で顔を覆うようにして、私は床を見つめて、
海翔様が自分の教室に戻るのを待っていた。