最初で最後
どうすることも出来なくなったあたしは、
しょうがなく環の教室を後にする。
次の授業は数学。
もちろん、環の事で頭がいっぱい。
数字なんて頭には一切入ってこない、と思う。

もう、屋上でさけびたい位だ。
でも生憎今日は屋上のマスターキーを、
俊也に貸してるし、菓子も持ってない。
…どうしたもんか。(2回目)




「開いてると、いんだけど…」


ダメ元で屋上へ続く階段をしょぼしょぼと歩く。
もう少しで扉が見えるってトコで、風が吹き付ける。
鍵は開いてるらしい。というか、扉自体開いてるらしい。
あけっぱなしって…先生とかに見つかるじゃん。
そうするとあたしのマスターキーが危ない…。
職員室から盗んできたのに…!
わざわざ合鍵まで作って、職員室においてきたのに…。


「うっわ…!風強い…」


< 51 / 57 >

この作品をシェア

pagetop