最初で最後
屋上に出ると、強い風が吹く。
折角整えた髪が台無しだ。
最悪。

扉の横の壁に寄りかかると、上から男子の声。


「何やってんだよ」

「上…?って俊也ぁ?」


上を見上げればマスターキーを貸した張本人。
身を乗り出した俊也の制服のポケットから、
マスターキーに付いているキーホルダーが
はみ出ている。
…危ないな、コイツ。
俊也にマスターキー貸すもんじゃないね。


「何やってんの」

「こっちの台詞だっつの。環と喧嘩でもした?」

「…なんで知ってんの」


扉の上のタンクから俊也は飛び降りてくる。
その瞬間チャリンと音がして、マスターキーが投げられる。

…こいつ危ない。まじで。
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