最初で最後
だってあたしは…寛生先輩が凄く気になってる。
けど、環はあたしのことを…?


「ゴメンって言っといて…」

「自分で言えよ。そのほうが環も吹っ切れる」

「………」


何このシリアス。
環は、ずっと仲いい友達で居られると信じてた。
指輪はしてたけど、これは過去の思い出。
けどあたしはその過去に離れを告げられない。

環がくれた指輪。
まだ幼くて、何も知らなかった頃の思い出。


「…そうする」

「体育館に居る」

「何で…」

「さっきバスケしてたから」


今体育はやってないんだろうか。
なんて事が頭をよぎる。でも俊也が言うんならきっと、
そうなんだろう。小さい頃はあたしのほうがお姉ちゃんみたいだったけど、
今ではすっかりお兄ちゃんだ。
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