黒の扉【短編集】
『う…ん。似た様なもんかな?ねぇ。飛び降りるの?』


僕は笑いながら話す。


「…関係ないわ。」


女は呟き、俯いた。


『まぁ。関係無いけど。課題手伝ってくれた御礼に、良い物あげる。』


「課題…?」


『うん。覚えて無いだろうけどね。』


そう言いながら、僕は彼女に、白い粉を渡した。


「何?」


『良い物だよ。少量でも、あの世行き。一人で使っても良いし、彼氏を道連れにしてもいい。どうせ一人殺してるんだ。好きに使いなよ。』


「………。」


女は答えなかった。
僕が渡した白い粉を、じっと見つめている。


『じゃあね。面白かったよ。』


僕は彼女にそう言い残し、空へと帰って行った。







     *end*

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