黒の扉【短編集】
「僕は絶対、仲間になんかならない!」
僕が叫びながら下がると、羽根をもつ男は僕に歩み寄った。
『ふん。人間のどこがいいんだ。空も飛べない。弱くて儚くて、すぐに死ぬ。全く魅力を感じないね。』
嘲笑うかの様に話す男に棒を突き付けながら、僕は後ろをちらと見る。
僕の後ろには地面はない。あるのは、底の見えない崖のみ。
男に突き付けている棒だって、ただの木の棒だ。こんな物で戦うなんて、馬鹿げているのは分かっている。だいたい、持っているのが剣だったとしても、男に勝てる見込みなんて無いに等しかった。
『もう諦めろ。俺の血を飲め。そうすれば、俺の仲間になれる。なに、簡単な事じゃないか。それだけで強く、永遠に美しくいられるのだよ。』
「嫌だ!仲間になんか、なりたくない!!絶対…!」
ふいに右足が行き場を無くす。地面がガラガラと音を立てて崩れて行き、僕はバランスを崩した。
「う…わっ!」
ギリギリの所で右足を引き、その反動で僕は男に背を向け座り込む。
瞬間。
左腕に激痛が走った。腕は上に持ち上げられ、持っていた棒は地面に落ち、跳ね返って崖の下へと落ちる。
僕が叫びながら下がると、羽根をもつ男は僕に歩み寄った。
『ふん。人間のどこがいいんだ。空も飛べない。弱くて儚くて、すぐに死ぬ。全く魅力を感じないね。』
嘲笑うかの様に話す男に棒を突き付けながら、僕は後ろをちらと見る。
僕の後ろには地面はない。あるのは、底の見えない崖のみ。
男に突き付けている棒だって、ただの木の棒だ。こんな物で戦うなんて、馬鹿げているのは分かっている。だいたい、持っているのが剣だったとしても、男に勝てる見込みなんて無いに等しかった。
『もう諦めろ。俺の血を飲め。そうすれば、俺の仲間になれる。なに、簡単な事じゃないか。それだけで強く、永遠に美しくいられるのだよ。』
「嫌だ!仲間になんか、なりたくない!!絶対…!」
ふいに右足が行き場を無くす。地面がガラガラと音を立てて崩れて行き、僕はバランスを崩した。
「う…わっ!」
ギリギリの所で右足を引き、その反動で僕は男に背を向け座り込む。
瞬間。
左腕に激痛が走った。腕は上に持ち上げられ、持っていた棒は地面に落ち、跳ね返って崖の下へと落ちる。