光る道
第八章

こんなに好き

「おはよぅ…」




ボーッとしながら、母に声をかける。



「あぁ、おはよ。パンでいいんでしょ?」



「うん… ありがと…」





実家に戻ってから、一週間ほど過ぎた。





30才を過ぎたころから、早く結婚しろと言われ続け、うっとおしくて出た実家。




突然戻って来た娘に、両親も驚いていた。



でも私の異変に気付いたのか、詳しい事は何も聞いてこない。






何もしなくても、テーブルにつけば食事が出てくる。


子供の頃は、そんな事は当たり前だと思っていた。 



でも一人暮しをすると、本当に母親の有り難さが分かる。




今は、いろんな人に助けられ、守られて大きくなったんだと感じる事ができる。




「何にやけてんのー? 気持ち悪い。仕事の時間大丈夫なの?
 あっ! 本田直人だ! お母さん、この人好きなのよねー…」




私から、パッとTVに視線を移した母の言葉に、思わず手が止まる…




私もTVに視線を移す。




芸能コーナーで、薫のコンサートツアーがファイナルを迎えたと告げていた。



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