光る道
「でも… 何でうちの病院に?」




彼の具合も気になって、私の声は少し震えていた。




「この前ドラマの撮影で使ったでしょ? それで事務所が頼んだんだって。内緒にしてくれるようにって。」




「だけど… 何でうちの病棟なの?」




「たまたま個室が、うちしか空いてなかったのよ。 まっ、産婦人科と混合だから、隠れみのには、なるわね。それにさ…」





「相沢さん!」




話の途中で、主任に呼ばれた。




涼子の話も気になるが、上司に呼ばれたら、行かないわけにはいかない。





「昨日、芸能人の本田直人さんが入院したんだけど。」




「はい。今、聞きました。」




「あなた、受け持ちになってくれない?」



「はい? どうして… 私なんですか?」




いきなりの事で、とまどう。




「マネージャーさんの、ご指名なの。ドラマのエキストラで見かけた貴方が、とても感じが良かったって。
患者さんを区別する訳じゃないけど、さすがに新人はちょっとね…
お願いしていい?」




「はぁ・・・」




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