光る道
彼の病室の前で、深呼吸。




今、彼に会って、自分がどうなるのか、分からなかった。



笑えるのか。



泣いてしまうのか。





でもこれは仕事。患者さんの一人なんだ。




もう一度自分に言い聞かせ、一切の雑念を捨ててドアをノックした。




「…はい。」



あの人の声だ・・・



涙が出そうになって、もう一度深呼吸。気合いを入れて、病室へ入った。






中には、点滴をしながらベッドに横たわる、薫がいた…




やつれて、顔色も悪い。何があったの?





「こんにちは。今日から香田さんの受け持ちになりました、相沢です。よろしくお願いします。」




そう言って、頭を下げた。



薫は私を見た瞬間、驚いた顔をしたが、すぐに笑顔になって、




「久しぶり…」



と、言った。




その笑顔で泣きそうになる…




私は一つ咳払いをして、




「どうしたんですか? ちゃんと食べてなかったんですか?」




と、仕事モードで話した。



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