光る道
久しぶりに見る、彼の寝顔。 



静かな寝息をたてて眠る顔は、子供みたいに安心しきっている…



愛しさがこみ上げ、泣きそうになる。




「かおる・・・」



彼の頬をそっとなでながら、つぶやいた。




何でこんなに疲れてるの?


奈々さんとは、どうなったの?



彼女と暮らしてたら、こんな風にはなってないか…



 一人、なのかな・・・




でも良かった…



泣かずに話せたし、ちゃんと笑えた…




「また来るね…」



眠る彼からソッと手を離し、部屋を出た。




廊下に出た途端、井上さんに会った。



「久しぶりだね。薫をよろしくね。」



笑顔で話しかけられた。



「こんにちは。 あの… どうして、私が受け持ちなんですか?」



「君が出ていってから、あいつは全く元気がなくなってね…
とりあえず仕事は頑張ってくれたけど、無理してるのが分かって。 こっちも苦しかった…
僕が引き離したようなもんだし。二人への罪滅ぼしかな…
これからはもう、何も言わない。二人でゆっくり話し合って。」



井上さんは、ほほ笑みながら、病室へ入った。



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