光る道
「仕事おちついた?」




ソファーに座りながら、優しい目で私を見る。




「あっ…うん。」




「今日は、生まれてないの?」




「えっ?」




一瞬、意味が分からず、彼に近づいた。





「ほら… 綺麗だぜ…」




上を見ながら彼がつぶやく。




空を見上げると、綺麗な満月だった…




「ほんと… 真ん丸だね…
でも今日は生まれてないよ。」




「そっか。生まれてたら、こんな所でのんびり出来ないよな。」




「そうだね。」




二人で、ちょっと笑った。










「なぁ… もう新しい部屋、借りたの?」




しばらく黙った後、薫が急に聞いてきた。




「ううん。今、実家にいる。」




「…そう…」




そしてまた黙り、月をじっと見てる。





部屋の電気は消されていて、明るい月明かりが、部屋に差し込む。




月明かりに照らされる薫の横顔は、とてもりりしくて、ドキドキしてきた…





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