光る道
母のお陰で、今日から住めるくらいになった。




気付けば、夕方だった。




「お母さん、ありがとー。助かりました。
お礼に夕食おごるよ! お父さんいなくて、一人なんでしょ?」




一息ついて、母に言った。



「でも… 彼、今日帰ってくるんでしょ?」




「遅くなるって、言ってたから。」





昼間に退院するのは、さすがに目立つ。



夕食まで食べて帰ってくると言っていた。





「何がいい? お母さんの好きなのでいいよ!」





台所でウロウロしてる母に、声をかける。




「ねぇ、この台所使っていいの?」




急に母が言う。




「あー… いいよ。私も時々使ってたから。」




「じゃあ、晩ご飯ここで作りましょう!」




「えーっ! どっかで美味しいもの食べようよ!」




「あんた、料理してたの?」




母にジッと見られる。




「・・してない・・・」




「やっぱりねー・・・」




大きな、ため息をつかれた。




「たまには作ってたよ! それに、薫が作らなくっていいって言うから…」





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