光る道
「じゃあ、またね! 薫くん!」



「お気を付けて。また遊びに来てください!」



薫にそう言われて、母は、いつまでも嬉しそうに手を振ってる。




「行くよ!お母さん!」



母の腕を引っ張り、駐車場へ向かう。




帰りの道のりは、高いテンションの母の相手で大変だった。




「ちょっと夕希! 何で前もって言ってくれなかったのよー! お母さん、心臓止まるかと思ったじゃないの!!」



そう言いながら、私の腕をバシバシ叩く。



「ごめん。タイミングを見て、言おうと思ってたんだけど… 
急に薫が、挨拶するって言うから…」



「でも、信じられないわー… あの本田直人が、娘の彼なんて…」



興奮冷めやらない母に、思わず言った。



「ねえ! 言いふらさないでよ! それも、部屋を出る原因の一つだったんだからね!」



「わかってますよ! 娘の恋愛を壊すような事は、しません!」




実家に着き、車から降りる母に言った。



「ねぇ、お父さんにも、言う?」


母はちょっと考え、



「時期を見て言うから、心配しないでいいよ!」



と、ニッと笑った。

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