光る道
「えっ?… ダメって?…」




暗い部屋の中で抱きしめられながら、私が聞いた。




「・・・今日は離れない・・・ 俺と一緒に寝るの!」




耳元で彼の声がする…




一緒に… 寝るって…




その言葉の意味を、いろいろ考えて、何も言えなかった。




薫も何も言わず、私の手を引っ張って、自分の部屋へ入った。




「はい、どうぞ。」




薫が先にベッドに入り、私のスペースをあけてくれる。




私は無言で、彼の側に横たわった。





「何でしゃべんないの?」



腕枕をし、私の顔や髪を触りながら、薫が言う。




「えっ?… いや… 別に…」




「何だよ、それ! 返事になってないよ!」




ドキドキして、しどろもどろな私を見て笑う。




「あー… やっぱりお前の匂い、いいなぁ… 」




私の首すじに顔を寄せ、彼がつぶやく。




ドキドキが、加速する…




「じゃあ… おやすみ…」



薫はそのままの姿勢で、そう言った。




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