光る道
「ねぇ。この頃、タバコ吸わないよね?」




重ねていた唇を離したあと、私が言った。




「あぁ。止めたんだ。退院してから吸ってないよ。 今ごろ気付いたの?」




「えぇーっっ!!」



私は驚き、大きな声で叫んでしまった。




「何だよ! 止めちゃいけないのかよ!」




驚く私を見て、彼が不機嫌そうに言った。




「だってっ! タバコは絶対止めないって言ってたじゃない!」





タバコの臭いは、いろんな所につく。



服にも髪にも、持ってる荷物にも。




私との約束通り、ベランダや自分の部屋で吸ってくれてたが、体についた臭いが気になっていた。




『健康のために、タバコ止めたら?』と一度言った事がある。




その時も『いやだ!これだけは、絶対止めない!』と断言したのに…





「まぁ… 俺も止められるとは思わなかったけど。
入院中も我慢できたしな。それに…」




チラッと私を見る。




「誰かさんが、嫌な顔するからさー。 寄ってきてくれないから、止めた。」






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