光る道
それから、お母さんは薫の小さい頃の話をしてくれた。




やんちゃで、いつもすり傷を作って帰ってきた事。



スポーツ少年で、体育系だった事。



バレンタインの時、何人も女の子が家にチョコを持って来た事。



初恋の子の事。




私の知らない薫を知る事が出来て、また一歩彼に近づけた気がした。





「またいつでも、いらして下さい。」




帰るお母さんの背中に声をかける。



「ありがとう! ・・・ねぇ、夕希ちゃん。 いろいろ言ったけど、気にしないでね。」



「えっ?・・」




「プロポーズ受けろとか、子供の事とか… 好き放題に言ったけど。あくまで、私の願望だから。
プレッシャーに感じないでね。 結婚して夫婦をやっていく事の大変さは、私もわかってるつもりだから…」




「はい… ありがとうございます。」




「もし… やっぱり薫が人生のパートナーじゃないと思ったら、別れちゃっていいからね!」




「あはっ… はぁ…」




何と言って良いか…



大胆な人だ…




そしてお母さんは笑顔で手を振り、帰っていった。








< 196 / 228 >

この作品をシェア

pagetop