光る道
「薫くんと、うまくいってるみたいねー。」




久しぶりに実家に帰ると、母がニヤけながら話しかけてくる。




「えっ? …普通だよ…」


なるべく平静に言ったつもり。




「プロポーズされたとか?」



「なっ、ないよ! そんなの!」




私たちの母親達は、テレパシーでも出し合ってるんだろうか…




「そう… 最近、料理も頑張ってるみたいだから、てっきりそうかと思ったけど。」



母は残念そうだ。





「・・・ねぇ、お母さん。
結婚して良かったと思う?」



「何? いきなり。」




母も仕事をしながら、主婦業をやっていた。

父は、いわゆる亭主関白な人で、家事を手伝ってる所など見た事がなかった。

母は、いつも忙しそうに一人で、何でもしていた。

そんな姿を見て思った。

『結婚は、女が損をするものだ』と。



だから私は、20代の頃から、結婚願望がほとんどなかった。



結婚する友人にも、どうしてわざわざ、苦労を背負い込むのだろうと思った。



母にも、昔言ってしまった事がある。



「結婚しても苦労するだけ。私は、嫌。」と。





< 198 / 228 >

この作品をシェア

pagetop