光る道
「風が…」



「ん?」




「風の音で… 眠れなくて…」




私は頭をポリポリかきながら、下を向いて答えた。





「えっ? 風の音で…眠れないの? …プッ、子供みたいだなぁー、お前。」




薫は私の頭にポンと手を乗せ、顔を近づけて笑う。





「…言わなきゃよかった…」




何かすごく子供扱いされた気分になって、私は自分の部屋へ帰ろうとした。





「あー、ごめんごめん! 怒るなよ。 お前の弱点が、また一つ分かって、嬉しくなっただけだから!」



と、私の腕をつかんで言う。




「弱点が、嬉しいって・・・」




まだ、ふくれっ面の私を見て彼が笑う。





「…おいで…」




彼はそう言って、私を優しく引っ張る。






そしてベッドに入り、ギュッと抱きしめてくれた。





「これで、眠れそう?」



…彼の匂いがする…




「うん…」




私は彼の胸に、顔をうずめた。





「今日は、妹だな…」



薫が私の頭をなでながら、つぶやく。



「妹?」



思わず聞き返す。






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