光る道
「家で、続きしていい?」



彼が運転しながら、私の太ももに手を置いた。




「えーっと…」



「えっ? ダメなの?」




口ごもる私を、彼が見る。



「ダメっていうか… はっきり、いいよって言うのも… 何か恥ずかしいっていうか…」




「お前…」



チラッと私を見て、彼が続ける。




「ギャップありすぎ! さっきまで病院で若い子に、ビシバシ言ってた相沢さんは、どこいったんだよ!」



「そんな事言ったって…」



私は口をとがらせて、薫を見た。





「…もう! そんな目で見るな! 我慢出来なくなるだろ!」




そう言いながら、私の髪をグシャグシャにした。




「あーっ! ひどい!」



私が髪を直してると、



「ひどいのは、お前だ… どんだけドキドキさせたら、気がすむんだ…」



彼がブツブツ、つぶやいてる。




「ごめんね。」




つぶやく姿が可愛くて、私は笑いながら、彼の腕に触れた。




薫は前を向いたまま、フッと笑って、何も言わずに私の頬を軽くつねった。





< 210 / 228 >

この作品をシェア

pagetop