光る道
「自然だな…」



彼がつぶやいた。



「えっ? なに?」



「いや・・ 顔とか腕とか、自然に触るんだな…」




「あ・・・。 無意識にしてた。 いつも患者さんに触れてるから、仕事と同じ感覚で…。 ごめん。嫌だった?」



「嫌じゃないよ。全然。」


そう言って、優しく笑った。




「な。もう一回おでこ、さわってくれない?」



「えっ? …いいけど・・」



私はちょっと、とまどいながら彼のおでこに手をのせた。




今まで自然にやってた事も、あんな風に言われると意識してしまう。




「あったかいな・・・。 ガキの頃、おふくろに看病してもらったの、思い出すよ。」



「今度は姉貴じゃなくて、お母さん?」



私が笑いながら言う。



「いいじゃん。俺のいろんな人になってよ。」





また、ドキッとした…。



いろんな意味にとれるじゃない。バカ…




「俺もう一眠りするわ。これなら明日、仕事行けそうだし。サンキューな。」



「うん、おやすみ」




私はドキドキを気付かれないように、足早に部屋を出た。



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