光る道
「また、いつでも来てね。」



「はい! 絶対来ます。」



笑顔で見送ってくれるマスターに、私は元気よく答えた。





店を出て、車が走り出したのは、家とは逆の方向だった。





「まだ帰らないの?」




「うん。もう少し付き合って。」




今日の薫は、秘密が多い…





「着いたよ。」



そう言われて辺りを見るけど、所々に街灯があるだけで、暗くて分からない。





ドアを開けると、一瞬で分かった。


波の音と潮の匂い…




「うわーっ! 海!」



海が大好きな私は、思わずテンションが上がってしまった。




「行こうか。」



薫が私の手を取り、海へ向かって歩きだす。





「あっ… 光ってる…」




真っ暗な海にキラキラ光る、一筋の道ができてた…


見上げると、綺麗な満月だった…





「今日を狙ってたんだ。前に約束したろ? 一緒に見ようって。」



楽しそうに彼が笑う。




「ありがと… 覚えててくれて…」




ヤバイ… 泣きそうだ…


彼の優しさと、目の前の景色の美しさに、胸がジーンとしてくる。




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