光る道
「俺の事はいいよ…」




「ずるーい!私ばっかり話して!」




彼の腕を掴んで、ブンブン振った。




あれ? 私、さわり魔になってる?




「まったく… 酔うとタチ悪いな…」




そう言いながらも、彼はおでこをポリポリかきながら、話を続けた。




「俺もいたよ… 結婚したいって思うくらい、好きだった人。 相手も同業者でさ。
でも… それがバレて雑誌に載って、ダメになった。」




「えっ。でもバレても付きあえたんじゃないの?」




私の質問に、薫は悲しそうな目をした。




「バラしたのさ、彼女側の人間だったんだ… 名前が出るのを利用しようっていう…
まぁ、そんな売名行為で有名になれるような甘い世界じゃないけどね。
女は怖いなーって思ったよ。
それから俺も… ちょっと踏み出せなくなったかな…。
あー!! なんでこんな事まで話してんだ! お前がふるからだぞ!!」




照れ隠しか、薫がワインを一気飲みした。



< 38 / 228 >

この作品をシェア

pagetop