光る道
予想通り、それから30分で赤ちゃんは生まれた。



母子共に元気でホッとした。



立ち合っていたご主人も、目が潤んでる。



生まれたばかりの我が子を抱くお母さんの笑顔は、世界で一番美しいと思う。




私が助産師をやっていて良かったと思う瞬間の一つ…





「やっぱりすごいです! お母さんへの声のかけ方とか、赤ちゃんの出し方とか。 常に冷静で、手の流れもスムーズで… 先輩、指が長いからですかね?」




後かたづけしながら、いずみが興奮気味に話す。




熱いなぁ… 思わず笑ってしまう。




「すごくなんかないよ。私もまだまだ… 反省したり勉強する事は、たくさんある。」





謙遜じゃなく、本当にそう思ってる。この仕事にゴールはない。





分娩室を出ると、他のスタッフが慌ただしく電話をしてる。



「どうしたの?」



「内科の患者さんの、血圧が下がった!」





うちは総合病院、そしてここは産婦人科と内科の混合病棟。



私もすぐに病室へ向かった。           


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