光る道
呆れながら、洗い物を続ける。




「なぁ・・・ もしかして、妬いてんの?」




「はぁ? 何言ってんの?」




「奈々の事で、俺にやきもち妬いてんだろー!」



そう言いながら、抱きついてくる。




「ちょっと! 薫! 重いよ!」




酔った勢いか、体重をかけて、強く抱きしめてくる。



「俺の事、好きなんだろー!」



子供みたいに無邪気な声で聞いてくる…






この胸・腕に、私は弱い…



彼は酔った勢いで、じゃれてるだけかもしれないけど、この温もりは、私を素直にさせる…





「な… 俺の事好き?」



抱きしめたまま、もう一度聞いてくる。




「うん… 好き…」



私がそう言うと、急に体が軽くなった。




薫の顔が、すぐ目の前にあって・・・



私の唇は、彼の唇と、重なっていた・・・



キ・ス?・・・



わけがわからず、ボーッとしてると、薫が離れて私を見た。



大きな手で私の頬を包み、



「俺も… 好き…」




そう言って、もう一度唇を重ねた。




今度はさっきより、強く… 深く…




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