光る道
食事の後、井上さんは薫と仕事の打ち合せをして帰っていった。




後片付けをしてると、窓の側に座って外を見てる彼に気付く。




「なにしてんの?」




片付けが終わり、薫に近づいて声をかけた。




「月… 真ん丸だぜ…」




空を見上げる彼につられて、私も顔を上げる。




「ほんとだ… 綺麗…」




空の満月は、綺麗な明るい光を放っていた。





「生まれてるかな・・・」


私がつぶやいた。




「えっ? なに?」




私は薫の側に座り、ニッコリ微笑んだ。




「満月の前後って、結構出産が多いんだ。」




「聞いた事あるけど… やっぱりそうなの?」



「わりとね。あと月がなくなる、新月の時も多いかな。
でも出産が続くと忙しいから、夜勤の時は空を見ないようにすることもある。」




「はははっ! 見なくても満月は一緒だろ?」



彼が楽しそうに、笑う。




「そりゃそうだけど… 気分的に違うの!」



私も笑いながら返した。




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