光る道
「相沢さん! オペ室から、準備できたかって!」





ニッコリ笑う薫を、なぜか見つめ続けていた私は、一気に現実に戻る。





「準備はOK! 後は麻酔科の指示まちって、言っといて!」




スタッフに伝え、




「ごめんなさい。今緊急事態で… 撮影の協力は難しいです。」




水谷くんに向かって話す。



「あっ。今日は大丈夫です。姿が見えたから、挨拶に来ただけです。
お忙しいとこ、すいませんでした!」




笑いながら、ペコッと頭を下げて戻っていく。




でも何で私の名前知ってんだろ…





「ね、あれ本田直人だよね! 今こっち見て、笑ってなかった?」




「うん! 見てたよ! 私たちの事見てたのかな!」




若いスタッフが、はしゃぐのを背にして、私は分娩室へ戻った。       



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