光る道
「いや… 薫が、あなたの仕事する姿が格好いいって、しきりに言うから。あいつの格好いいところも、見て欲しいと思って。
 ところで、住むところ、あるの?」



「大丈夫です。なるべく早く出ます。 …目立たないように…」




何となく困ったような表情で井上さんは、



「よろしく… あんまり無理しないでいいからね。」


と、優しく言ってくれた。  






井上さんが帰った後、しばらくボーッとしてた…





「さてと・・・ 荷造りするか!」




自分に言い聞かせるように、立ち上がる。




でも… 住むとこ、どうしよう… 大丈夫だと言ったものの、あてはない。




実家に電話してみようか…



久しぶりに、かけた。



「もしもし、おかあさん?」



「夕希? どうしたの?急に。」



「あのさ・・・ 突然で悪いんだけど。 しばらく家に戻ってもいい?」



「えっ? まぁ、あんたの部屋は、そのままだから構わないけど。 今、お友達と同居してるんでしょ? 何かあったの?」



「何も… ないよ… ちょっと戻ろうかなーって…」



なぜか、涙があふれた… 
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