加納欄の警察手帳 シリーズ24
「わ、私だって、パチンコをだな……」

鮎川さんは、最後の言葉を濁した。

「奇遇ですねぇ。気分転換って、必要ですよねえ……誰かいるんですか?」

わざと、奥を覗き込もうとした。

鮎川さんに、肩を掴まれ引き戻された。

奥から、話し声が聞こえた。

「ミナトさん、今回も楽勝でぶん取れますって。前回だって、楽勝だったじゃないっすか」


ミナト!?


いた!


ミナト達数名は、休憩スペースらしき場所で雑談していた。

店の閉店時間は、お構いなしのようだった。

「鮎川さん、なんでミナトがいる場所が分かったんですか?」

ズバリ聞いた。

「そりゃ、何年も刑事やってれば、いろんな情報源をだな……」

鮎川さんは、ミナト達のやり取りが気になって、あたしの質問に、上の空で答えていた。


KAX行ったの、鮎川さんだったんだ。


なんだ、大山先輩じゃ、ないんだ。


あたしは、少しため息をついた。

「ミナトさん、何渋ってんすか」

また、男達の話し声が聞こえた。

「今回あんま乗り気じゃねぇのよ。俺の六感がザワついてんだわ」

「なんだよ。ビビってんのかよ」

「違うって。やりたきゃお前らだけでやってこいよ。俺今回は、見物人」

「大金が手に入るのによ。いざとなりゃ、コレだってあるんだぜ」

と言って、ミナトと話してる男が、背中から、1丁の拳銃を取り出すと、ミナトに見せた。


!!!


マズイッ(>_<)!


そう思った時には、鮎川さんが男達に向かって、歩き出していた。

「待って!」

あたしは、鮎川さんの背広を掴もうとしたが、空振りに終わり、身を隠した。

「なんだ?オッサン」

突然現れた男に、ミナト達が、立ち上がった。

「君達、拳銃を渡すんだ」

鮎川さんは、拳銃のことしか、頭に入ってないようだった。

「あぁぁ!何言ってんだよ!これが見えねぇのかよ!」

と言って、男が、拳銃を鮎川さんにむけた。


お店の人達、皆避難出来たかなぁ(__)


鮎川さん、もうちょっと待っててくれたらなぁ。


行くしか、ないかぁ……。


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