加納欄の警察手帳 シリーズ24
あたしは立ち上がり、様子を伺った。

「それは、君のではないだろ?返すんだ」

鮎川さんは、無防備に男に近付いていた。


それ以上わぁぁぁ!!


あたしは、鮎川さんの後を追って、男達の前に姿を現した。

「鮎川さん!」

「欄君!君は来ちゃいかん!」


そんなこと出来るわけないでしょ?!


鮎川さんに止められたけど、あたしは、歩みを止めなかったし、男達も、あたしを見ると、鮎川さんを突き飛ばして、あたしの前に進んできた。

「なになに?可愛いじゃん、俺に会いに来たとか?」

と言って、あたしのおでこに拳銃を突きつけた。

あたしは、ニッコリ笑うと。

「探してるの」

と答えた。

「欄君、よしなさい。危ないから、下がってなさい」

とたしなめた。

「オッサンうるせぇよ、探してるって?」

男は拳銃を突き付けたまま、瞳を覗き込んだ。

あたしは、左側にいる男を見て、拳銃を突き付けている男を見て。

「物」

と答えた。

「モノ?」

「……固い、物」

上目遣いに見上げた。

「……探しモノは俺だな。……もぉ、なってるぜ」

と言うと、男はいやらしく腰を押し付けてきた。


ヘンタイ(−_−#)!


あたしは、いやらしい腰つきを軽く交わすと、左側の男に歩み寄った。

「噂のミナト君ってのにも、興味があるけど?」

今まで、黙っていた、左側の男の眉が、ピクリと一瞬動いた。


こいつがミナトだ。


「ある所で仕入れた物が盗まれちゃって」

あたしは、男ではなく、ミナトに話しかけた。

「……なんの話しだよ」

「困ってんのよ。明日中に、お金払わなきゃいけないのに、物は無いのに、代金は支払うって、馬鹿な話しじゃない?」

「……知らねぇな」


もぉヒトオシ。


「だからぁ。ミナト君の力を借りたくてぇ……あの男の子が持ってる拳銃、あたしが盗まれたのに、そっくりなんだよねぇ」

ミナトが、男を見た。

「バァカ、知らねぇよそんなこと」

男が答えた。

「欄君。何を言ってるんだい」

鮎川さんが、小声でたしなめる。


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