加納欄の警察手帳 シリーズ24
最近、サボリにサボリまくっていた為、調書がたまっていた。


何時に帰れるんだろ〜。


苦手な調書に、かなり時間をとられていた。

時刻は夕方になっていた。

あたしが報告のため、南署に戻ってから2時間後に、大山先輩は、事件を解決し戻って来た。

犯人、人質とも無事確保、救出できたらしい。

銀行強盗の調書を手早く書き上げると、また南署を出て行ってしまった。

鮎川さんは、何をしに行ったのか、署を出ていた。

課長は、退社時間になり、帰って行った。

「まぁだ片付かないのかよ」

高遠先輩は、自分の仕事を終わらせると、珍しく祥子さんと2人で、楽しそうに帰って行った。

「欄ちゃん、まだ終わんないのかい?」

宿直のため残っている吉井さんが、声をかけてきた。

「もぉホント苦手ですぅ。書いたのに、わかんないって、大山先輩に返されたんですよ。領収書の精算もあるのにぃ」

「これも大事な仕事だからな、丁寧に」

「(:_;)」


人には、向き不向きというものが……。


「ちょっと、資料取って来ます」

あたしは、気分転換兼ねて、席をたった。

資料を取りに行き、帰りにコーヒーを注いで戻って来た。

コーヒーを少し飲みながら歩いていると、鮎川さんが、戻ってきていることに気がついた。

あたしは、なぜか、柱の陰に隠れ、鮎川さんと吉井さんの会話に耳を傾けた。

「どこに行ってたんだよ、鮎さん」

「ん、ちょとな」

ヨッコラショッと言いながら、鮎川さんは、椅子に座った。

疲れた顔をしていた。

「……見つかんなかったのか?」

吉井さんが、聞く。

鮎川さんは、両手で顔を覆い、グイングインとマッサージした。

答えはなかった。

「最近元気ないじゃないか。どうかしたのか?娘さんと何かあったのか?」

確か鮎川さんの家は、奥様が亡くなって、高校生のお嬢さんと2人で暮らしてるって、前に大山先輩に、聞いたような。

「いや、なんでもないんだ」

「鮎さん。悩み事は言ってくれよ。俺と鮎さんの仲だろ?」

あたしは、柱を背にして、そのまま膝を立たせて座り込んだ。



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