加納欄の警察手帳 シリーズ24
「アレが盗まれたんだ!不注意でだぞ!もし、使われてみろ!私は!!」

その時、スピーカー音が部内に響いた。

「警視庁より入電、警視庁より入電。発砲事件発生、場所は但東町パチンコ店。発砲事件発生、場所は但東町パチンコ店」

あたしは、慌てて立ち上がり、コーヒーを手にかけた。

「アツゥッ」

「欄君!?」

「あっ、え〜っとぉ、資料が、なかなか見つかんなくて、その、そしたら、入電が、あ!そうだ入電!私、現場行ってきます!」

「私も行こう」

あたしより先に、鮎川さんが、出て行った。

「ま、待ってくださいっ」

あたしは、鮎川さんを追い掛けた。

運転は、あたしがした。

「欄君、あんまりスピードは」

「大丈夫です。そんなに出してませんから。それより、早く着かないと、先輩達も来てくれると思いますけど、今日に限って、さっさと帰っちゃうんだもん」

「あいつらだって、早く仕事が終わった日くらい、息抜きしたいだろ」

「そうかも知れませんけどねぇ」


確かに、高遠先輩は、祥子さんとデートしに行ったみたいだし。


あたしだって大山先輩とっ!


鮎川さんの顔を見た。


……いいんだけどね。


あたしは、別に……。


家に帰ったって、することないしぃ。


……大山先輩、どこにいるのかわかんないしぃ。


覆面車は暗闇を走り、事件現場のパチンコ店へ着いた。

車から降りると、本庁の面々と、鑑識がもう作業を始めていた。

仲の良い、鑑識の岩沢さんを見つけた。

前に飲み会で意気投合してから、とても良くしてもらっている。

「ガンさんお話し聞かせてよ」

「おぅ、嬢。遅ぇな、旦那らが張っちまってるぞ」

「いいの、いいの。ガンさんのお話しでいいんだ」

「若い男が数人で売上金を狙ったらしいぞ。弾が見つかってる、早いうちに面がわれんだろ」


う〜ん。


「その弾ってさ、もぉ、渡っちゃったのか、な?」

と言って、目線を、本庁の方々に移した。

「ほぉ?」

「ちょっと、こっちの事件と絡んでそうで、さ」

ガンさんは、作業の手を休めずに言った。

「持ってるぞ」


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